今日はナタリー・ワイズのリハーサルだった。
最後にリハーサルしたのがいつだったかはもう思い出せないが、レコーディングした最初の日のことは一生忘れられない。
地下のスタジオで作業をしていたら、スタッフが青ざめた顔で入ってきてこう言った。「第三次世界大戦が始まった...」作業を中断して、みんなでニュースを見た。煙を上げるビルを横目に、飛行機がもう1基、ビルに突っ込んでいった。大爆発が起きて噴煙が上がった。2001年の9月11日だった。(*このあたりに詳しく記述)
ナタリー・ワイズは斉藤哲也(ピアノ)、高野寛(ギター&ヴォーカル)、BIKKE(スポークンワーズ、ラップ)によるバンド。もともと基調としていたドラムレスでアコースティックなサウンドが、911後の暗い時代の影に奇妙にシンクロしてしまった。
結局、ナタリー・ワイズは2004年に3枚目のアルバムを発表した後、特に理由もないまま活動を凍結した。
ナタリー・ワイズが活動していた時期は、YouTubeが流行り始める少し前、まだCDも十分売れていた頃だった。その後時代は急激に動画と配信に舵を切ったが、活動休止していたナタリー・ワイズは完全にその波に乗り遅れ、今はいくつかの動画の他には、ネット上にその痕跡はほとんどのこっていない。
気がつけば、最初の録音から今年で20年。
去年から連絡を取り合い始めて、今日集まって音を出した。
17年ぶり?
音を出せば、あの時に戻る。でもみんな、大人になった。
北国で桜が咲く頃に、「再奏」します。
Pic by Mii Sekiguchi.
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