いやー忙しかった。というか、まだ忙しいけど。
宮沢和史君のライブのリハーサルの合間を縫って、他の案件も3つほど同時に進めつつ、今月も新しい作品を無事配信できてほっと一安心。
今回は力の抜けたアコースティックインストアルバム。
フルコーラス無料試聴できる設定ですが、定価+αのご購入でハイレゾ含む各種フォーマットでのダウンロードも可能。アルバム購入特典は、セルフライナーノーツと曲のイメージに沿ってセレクトされたデジタル写真集によるブックレットです。
気に入ってもらえたら、右上の「buy」ボタンからぜひ。
*ブックレットの中身はこんな感じ
ブックレットにも書いたけれど、昨年から配信してきた作品は、いつもなら足りない時間を思う存分使って、緻密に作り込んだものが ほとんどだった。その分、隙がないというか、どこか力が入りすぎていたり、アートを意識しすぎたところもあったかもしれない。そしてそれはもちろん、コロナ禍の日々の緊張感が音に映し出されたから。
今回の作品は、今までに比べて圧倒的に時間がなかった。だからたくさん音を重ねることもせず、できるだけシンプルに仕上げるしかなかった。結果それが、気負いのない、風通しのいい音につながったと思う。自分でも繰り返して聴けるのが嬉しい。
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昨年4月からずっとリリースを続けているプラットフォーム・bandcampは2007年からあるインディーズアーティスト向けの配信プラットフォーム。サイトが日本語されるのが遅かったこともあって日本ではそれほどポピュラーではないが、サブスクやCDでは流通していないここでしか聞けない面白い作品が沢山聞ける。
アーティスト側の設定にもよるけれど、基本ここにUPされている曲は無料で全部聞けてしまう。基本無料なのはSoundCloudやYouTubeと同じだが、YouTubeと違ってbandcampには広告は一切入らない。
ユニークなのは、それぞれの楽曲やアルバムにはアーティストが自由に値段をつけることができて、定価、もしくはそれ以上の価格でダウンロードできたり、オマケのファイルをゲットできたりする。ここ何ヶ月か、僕はセルフライナーノーツや写真集のデジタルブックレットを作っている。クレジットなどの細かい情報も記録できて、配信の弱点を補えるのがいい。
「基本無料、気に入ってくれたら課金を」というフリーミアムのスタンスは、元々ネット上には当たり前に存在していた。2000年代初頭くらいまでは性善説に基づいて、「どうぞご自由に、気に入ってくれたら寄付を」というやり方が中心だった。(例えばWikipediaはいまでもそのスタイルだ) ところが近年は、同じフリーミアムでも「無料のままだとストレスを感じるので課金したくなる」というビジネスモデルに落とし込まれているものが大半を占めるようになってしまった。仕方ないが、世知辛い。
いつしかYouTubeには広告が頻繁に入るようになり、善意の循環というより一攫千金を狙うムードに支配されるようになった。音楽プラットフォームもSpotify, Apple musicを中心とした定額制がスタンダードになった。(Spotifyは無料でも聴けるが、僕はストレスが強かったのですぐ課金した)そんなネットの世界の動きに流されず、bandcampはずっと開設当初からのフリーミアムモデルを貫いて支持されてきた。
そこに2020年、突如世界を襲ったコロナ。
bandcampがコロナ禍ミュージシャン救済策として提案したのが、2021年5月から始まったbamdcamp friday。毎月第一金曜日の24時間に限り、手数料なしで売上を全額アーティストに還元するキャンペーンを続けてくれている。当初は3ヶ月間の予定だったが、流行の終息までには程遠いという理由から、2021年前半も継続がアナウンスされた。
近年のミュージシャンの活動は基本的には「作品を作る→それを広めるためにツアーに出る」という順序で成り立っていた。ライブが思うようにできない今、作品を作れたとしても、その「出口」が見つからない。そんな中僕は、bandcamp fridayのサイクルに合わせて作品をつくり、それを気に入ってくれたファンが買ってくれることで、ずっと創作のモチベーションを保つことができた。
そして今回も無事、リリースできた。bandcampとファンの皆さんに、感謝。
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